合成化学香味料の香りに僕らは浮かない魂を思う。 甘いオロナミンCの匂いが、日々誰かを殺している。 その誰かが僕なのか君なのか君なのか彼なのか。 判ったら、ラクにふたを閉めることができるというのに。 ふたしないまま腐ってく―くさってく CO2が抜けてく。人間の呼気と同じように、 オゾンホールに穴をあける。 逃げだせない熱が、僕らを温める。 浮かない魂が地面を這う風船のようで(ヘリウムが力つきたただの屍のようで) 少し哀れ。 首を僕につながれた魂のなげき 「「「ああ!空はあんなにも遠い!」」」 からかうように飛ぶティラノザウルスが降りてきて なげいていた僕の魂を踏みつけた。 そんなティラノザウルスは笑って、こう言うんだ。 「遠いとなげいたお前が悪い! こんなにも空は――――――――――――――――!」」 消えていく魂はまっすぐにオゾンホールから出ていったんだ。 君をみちづれにして 2006-11-04